シャツの縫製

  • 2020.03.30

この前、信頼している先輩とご飯を食べていて縫製の事で質問があり回答したのですが、そういう説明はblogでも必要では無いかと思ったので書きます

メンズシャツとレディースシャツで何故縫製が違うのか?という問題です

うちはシャツの縫製には当然拘っていて、特にメンズシャツは「本縫い仕上げ」という縫製を用いています。

これは裏からみても綺麗な縫製で、強度もありとても難しい技術なのです。生地を縫い合わせる時に各パーツの縫代に差をつけて縫い合わせます。そして段差のついた縫代同士を折り紙の様に織り込んで上から更に縫うという事を全ての縫い合わせる箇所で行います

僕的にはまずシャツはメンズファッションのアイテムであり、このメンズ服の仕立てこそがシャツなのだという主張もありこれを推奨しているのですが、2017年にレディースブランドを立ち上げるにあたってレディースファッションの服作りを勉強していくと、その考えを改めなくてはいけない事を学びました

伝統と機能美、全てに意味を持つメンズ服に対して、エレガントを追求するレディース服のデザインには技術的にNGがいくつかあります。つまり縫製の手段そのもに「メンズ向け」と「レディース向け」があると言う事です

先程取り上げた「本縫い仕上げ」は美しく頑丈な縫製と言いましたが、1つ大きな特徴があります。それは縫い合わせ箇所の表面に縫目が出るという事です。一箇所の縫い合わせ箇所に対して2回縫うという事は説明しましたが、1回目の縫い合わせは中表(表面を中に入れ)で縫うのでひっくり返したら縫目は消えるのですが。2回目の縫いはその上から縫うので絶対に表に出ます。これがエレガントを追求するレディースデザインには邪魔で、このステッチ1つで一気にメンズっぽい無骨さが印象として出てしますのです。

なのでレディースファッションではロックミシンを使って生地の処理をします(気になる方はググってね)

つまり、手を抜いている訳では無くてデザインに対して必要な縫製方法を用いて作っていると言う事です

道具は全て工業用でしっかり縫ってます